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花尊し

花尊し

斥力


4つの力

素粒子の世界には4種類の力が働いている

重力/一般相対性理論
電磁力/電磁気学
弱い力/量子力学
強い力/量子色力学
* 弱い力と強い力は原子核にからむ
* 4つの力を1つにまとめるのが理論物理学の夢

電磁力と弱い力は電弱統一理論で統合された。
これに強い力が加わり3つの力を統合する大統一理論がある。
さらに重力を統合する超大統一理論(最終理論)で
4つの力全てを統合することになる。

4つの力の中で質量が持つ重力は引力としてのみ働き、
引力のみというのは重力だけで、
微弱な重力が集まると膨大なものとなり、
超遠方にまでその影響を及ぼす。
引力のみが宇宙を動かしている力といってもいい。

4つの力は宇宙のはじめには1つだったと考えられ、
宇宙の開闢にさかのぼる真空の相転移によってもたらされた、
つまり、真空の相転移のたびに力が枝分れしたと考える。
原初のプランクエネルギー密度からの真空の相転移で重力が枝分れし、
第2の相転移で強い力が枝分れし、さらに第3の相転移があり、
電磁力・弱い力と、順次に4つの力に分裂した。
これは宇宙開闢からまだ1秒とたっていない瞬間の出来事で、
この短時間に宇宙の原型と運命はほぼ固まった。

真空の相転移は水で言えば気体、液体、固体と温度が下がることによって相が変わる風景で、
相が変わるとき過冷却が起こり、0℃の水から同じ0℃の氷に相転移する時、
水はさらに冷却しなければ氷にはならない。
この相と相の間のエネルギー・ギャップが過冷却になる。
宇宙開闢後の真空の相転移の時も過冷却があったと言うのが、
インフレーション理論の出発点だった。

ビッグバン理論の様々な矛盾を解決したインフレーション理論は、
真空の過冷却の間に原初宇宙がインフレーションを起こしいっきに大膨張し、
ビッグバンはその直後に起こったとする。
相転移前の真空は高いエネルギーを持っており、
このエネルギーが斥力となって宇宙空間を急膨張させるのである。
アインシュタインが宇宙の収縮を止めるためにつけ加えた宇宙項
(宇宙の膨張がハッブルによって発見され撤回した斥力)が復活したのである。

真空の相転移とは素粒子論的に言えばヒッグス粒子の相転移のことで、
真空の相転移は大統一理論でヒッグス粒子が発見されれば証明される。
ヒッグス粒子とは素粒子に質量を与えるもので素粒子のゲージ理論の中の基本的粒子の1つ。
標準模型や大統一理論では
クォーク、レプトン、ゲージ粒子などの基本粒子は本来は質量(重さ)をもたず、
ヒッグス粒子との相互作用によりはじめて質量を獲得する。
各粒子がどれだけの質量を持つかはヒッグス粒子のさじ加減ひとつである。
理論的にはこのように重要な役割を持つが実験ではまだ発見されていない。

ビッグバン理論とインフレーション理論の違いは
ビッグバンの前に宇宙がインフレーションを起こしているかどうかという点。
インフレーションとは真空の相転移の直前の過冷却の間に宇宙が相当な大きさまでいっきに拡大し、
この過冷却はエネルギーの高い偽の真空からエネルギーの低い真の真空への相の転移だということ。

宇宙に存在する物質の総量によって、
1 プラスの曲率を持つ閉じた宇宙、
2 マイナスの曲率を持つ開いた宇宙、
3 その中間の平坦な宇宙、
という3つが考えられる。

1 物質密度が高くビッグバンの爆発力が相対的に小さい場合、
物質による重力の引力がビッグ・バンの宇宙膨張にブレーキをかけ、
やがて収縮に向かいビック・クランチを起こし宇宙は終焉

2 物質密度が低くビッグバンの爆発力が相対的に大きい場合、
物質による重力の引力がビッグ・バンの宇宙膨張に負け宇宙は無限に膨張

3 平坦な空間では膨張速度の最適性が保たれ現在のような宇宙が成立する。

遠方にある超新星の詳しい観測(1998年)から
宇宙の膨張はスローダウンしているのではなく加速していると考えられ、 
宇宙が負の曲率を持つ可能性が高まった。




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